第三回「設計・開発の課題にマネジメント視点で取り組む」

2020.7.10 / Dynamic Task Manager

第二回ではプラットフォームにAras Innovatorを選んだ経緯や、Dynamic Task Managerの有用性についてお話しました。今回はDTMでプロジェクトの進捗に応じた予算・原価管理まで拡張して利用した事例をご紹介します。

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個別受注生産のコストマネジメント

プラント設備などの個別受注生産型の事業では、案件の引き合い・見積から設計生産・設置まで、プロジェクト型で業務が進められる。社内だけでなく社外のパートナー企業から設備やリソースを調達しながら、これらの工程計画を周知徹底し遅延なく進行することが必須である。そして受注金額に対する原価管理、そして黒字化はいかなる場合においても死守すべきミッションでもある。

こうした厳しい条件を背景にして、韓国の太陽光発電設備を製造設置する企業では、DTMを利用してプロジェクトの進捗に応じた予算・原価管理まで拡張して利用しているケースがある。(図5)

図5 個別受注生産プロジェクト管理システムの主な機能、ERP連携

受注契約単位で①DTMを利用した日程/原価の管理  ② ERPシステムの連携による原価管理 ③ PJ計画から終了までのプロジェクト全体の進捗モニタリング機能がシステムの主要なスコープである。WBS(アクティビティの集約単位)の管理レベルを定義し、その4レベル目を“Work Package”と明確に位置づけ、その単位で調達、製造、原価の管理を行っている(図6)。

図6 WBS Work Package単位の日程と原価管理

そしてそのWBSの Work Package単位に受注原価、目標原価、予定原価を設定し、 ERPで管理するTaskと連携する。ERPの原価管理では部門別、費目別に実績が入ってくるのでこれを集計し、目標原価と突き合わせて予定原価を修正する(図7)。プロジェクトマネージャは、日程計画の進捗状況とコストのリスクもモニタリングする仕組みとなっている(図8)。EVMチャートの提供により原価超過について早期に認識し対応するような意思決定支援を可能とした。

 

図7 ERPと連携したプロジェクト原価管理

図8 プロジェクト全体のゲート管理、モニタリング

さて、ここまでプロジェクトという概念で、設計生産及び個別受注生産形態の事業におけるマネジメントを見てきた。最後に紹介した事例は、プロジェクトの計画や進捗だけでなく原価まで踏み込んだしくみを構築した本格的なケースであるが、まずは現在進行中の業務プロセスを共有し可視化することから初めてみることをお勧めする。共通のプラットフォームを利用することで、プロジェクトマネージャだけでなく技術者個人が全体のマネジメントに気配りするきっかけができるのではないだろうか。

最後に、紹介した個別受注生産の進捗と原価の管理の例は、システムの開始から約10か月で全体のリリースを達成していること付け加えておく。韓国企業の意思決定のスピードと勢いには圧倒される。