グローバルメーカーSCM部門の動き方(3-4)

2021.5.11 / SCM

2-4.早く試す・小さな失敗をする

SCMの先進企業が共通して実践している事項として最後に一つ紹介したい。SCM先進企業は、新しいことを始めるにあたり、長い時間をかけて精緻な検討を行うのではなく、問題の起きる可能性が予想されていたとしても、走りながら考えて修正していく、というアプローチをとる。

変化のスピードが速い今日の環境においては、目の前の課題対応を検討しているうちに、次の変化が現れてしまう。そして、どんなに石橋をたたいても結果は大きくは変わらない。だからリスクを恐れずさっさと始める。小さな失敗は必然の結果として許される。ただし、失敗を小さく済ませるには、その施策に対する“目利き”が必要である。

先に述べた韓国企業の「早いアクション」は今に始まったことではなく、第二次世界大戦の終戦から5年後に引き起こされた朝鮮戦争の荒廃から復興し、飛躍的な経済成長を遂げた韓国の戦略であり習慣だといえる。

日本と同様に小さな国土で資源に乏しい韓国では、経営幹部の多くが海外に目を向け、外で学び、帰国して活躍している。そうしたグローバル視点に立った“目利き”がビジネスの方向性の決定に関わっている。

実際、筆者の経験した限りでも韓国企業はSCMシステムの選定にあたって国内外を問わず広くリサーチしており、グローバルスタンダードに準拠していることを重要な選定条件の一つとしているようである。またザイオネックスのシステムを選んだ韓国企業は、比較的低コストで必要な機能から始められることも採用理由として挙げている。小さく始められれば、たとえ失敗であっても大きなダメージを被ることはないからである。

SCMの活動はよく“旅(Journey)”にたとえられる。何らかのシステムを採用しても、外部・内部の環境変化に合わせた改善はずっと続いていく。したがってSCM部門は、高い視座から組織を俯瞰する地図をもって、正しい方向へ案内するナビゲーターであるべきだ。

――次ページへ