グローバルメーカーSCM部門の動き方(4)

2021.5.11 / SCM

4.SCMと製品ライフサイクル管理

最後に、弊社がSCMと並ぶもうひとつの柱としている製品ライフサイクル管理(PLM)との関連について少し述べておこうと思う。

冒頭で述べたように、ザイオネックスは製造業のモノづくりのサポートから出発した。工場の製造現場の効率化を支える生産スケジューラーの開発に始まり、需給調整計画、需要計画と領域を広げてグローバル企業にソフトウェアを導入してきた。これらはすべてプロセスの改革であった。

その経験を通して、日本企業の設計開発の領域では、組織横断のマネジメントがなされていないことに気づいた。そこで設計開発プロジェクトを管理するプロジェクトマネジメント用のソフトウエア「Dynamic Task Manager」を、オープンソースのAras Innovator®のアドオンとして開発した。

このソフトウエアは、Arasのデータベースで保管される技術情報とともに、ものづくりの企画・設計・生産準備のプロジェクトの計画の策定と進捗や原価など実績を管理するものである。現在は日本のメーカーだけでなく、海外の重工業や設備製造、自動車・航空関連などのメーカーに数多く採用いただいている。

製品ライフサイクルや技術情報管理とSCMは、通常は管轄部署も異なるため。関連が薄いように感じるかもしれない。しかし、製品の特性によってサプライチェーンのアーキテクチャーには無視できない違いが生まれる。そこからまた、無視できないオペレーション管理の課題が生じるのである。

例えば歯ブラシなどのコモディティ化した機能的製品と、ファッションアパレルのような市場対応型の製品では、需要のパターンが全く異なる。前者は需要の変動は少ないが安定した供給を求められる。新製品のバリエーションの開発をすることはあっても、設計から原材料の調達・生産、上市まで予測がつくため計画が立てやすい。いかに低コストで在庫を切らさず安定的な供給を行うかがポイントになる。

一方、後者は需要が読めないため、供給過剰のリスクが高くなる。ライフサイクルも短い場合が多い。従って、いかに短期間でマーケットの嗜好・需要に合わせた製品開発をするかがSCMの重要なKPIになる。前者とはSCMの管理ポイントや管理のモデルがまったく異なる。

 

表1: 機能的製品と市場対応型製品の違い

 

上記の表に示すように、製品設計開発・ライフサイクルとSCMの連携は、全体のバリュー・チェーンを最適化する上で欠かせない管理要素である。詳しくはまた別の機会に譲るが、革新的な製品を世に出し利益を生み出すには、SCM部門と製品戦略・設計開発の部門とのコラボレーションが欠かせないのである。

 

 

[7] M. L.Fisher, “What is The Right Supply Chain for Your Product?,” President and Fellows of Harvard College, 1998.