グローバルメーカーSCM部門の動き方(3-1)

2021.5.11 / SCM

3.変化対応力を強化する方法

これから迎えるアフターコロナの局面においても人々の生活や経済の状況はこれまで以上に大きく変化していくことが予想される。変化に迅速に対応するために製造業は何をどのように準備すればいいのか、そこでSCM部門はどのような役割を果たすことになるのか。

以下に弊社の顧客の好事例を交えながらSCM先進企業が実践している項目を4回に分けて解説する。

 

3-1.変化を知る・予測する

ひとつめとして、変化を知るには、常に最新の状況をモニタリングできる仕組みが必要である。どこの企業でも備わっている会計系の基幹システムでも過去の実績はわかる。しかしながら、どの地域で何が多く売れているのか、急激に増えているもの/減っているものはどれか、それはどんな現象が関連しているのか、また将来の販売見込みに対して在庫や供給計画はどのようになっているのかなど、直近の変化の傾向が、必要な切り口で即座に分析できることが必要であろう。

ひと昔前まで、全社のデータを集計して分析するには、ERPなどのデータをダウンロードしてExcelで分析するとか、高価で導入の手間のかかるBI(Business Intelligence)ソフトウエアを利用するしか方法がなかった。しかし近年は「Tableau」や「QlickView」など手軽に利用できる分析ツールが増えている。データさえそろっていれば、こうしたツールを利用して、拠点別、製品カテゴリ別など様々な観点からグラフ化して全社で可視化することが簡単にできるようになった。

ただし、会計や販売管理など実績系のERPだけしかない企業では、将来の需要予測・販売予測がそもそもデータとして存在していないことがある。企業の活動は、製品やサービスの需要がトリガーとなって始まる。需要のない調達や生産はあり得ないはずなのに、データ化された需要計画を起点に発注や生産を行っていないケースが、大手企業であっても往々にしてみられる。需要予測や販売計画の策定が企業内の公式なプロセスとして行われていないことも多い。

こうした場合は、場所を問わず共同で計画を策定したり結果を分析したりすることが可能なクラウドのSCPソフトウエアが有用であろう。機械学習や統計手法を利用した需要予測システムは、弊社への問い合わせが最も多い領域だが、過去実績と需要予測、そして前述の未来の販売計画や在庫、供給計画が統合されたダッシュボードをモニタリングすることにより、急激な需要の変化や欠品・過剰在庫のリスクを検知することができる。

企業におけるSCM部門の役割は、よく「航空管制塔(コントロールタワー)」に喩えられるが、まさにこの管制官と同様に、SCM部門は可視化ダッシュボードを利用して、企業の安全運航を常に監視する役割を担っているのである(図4)。

図4.CEO直属のControl Towerと各機能の関連

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