DXと多様性
人は、国籍、年齢など相手の属性によって無意識のうちに自分の持っている潜在意識によって相手を識別し判断している。
ダイバーシティが言われて久しいので、性差や国籍などはその対象として扱われることが増えたが、どうしても年齢だけは、相手を識別する材料として扱われがちであろう。ある意味それは無理のないことで、生物学的に身体能力や体力は若年のほうが勝っているし、人生経験はいくら頑張っても20年より50年生きてきた人間のほうが多いに違いない。
ただ、ひと時代前と大きく異なるのは、得られる情報がフラットになってきていることである。以前であれば書籍や新聞・テレビなどのメディアでしか得られなかった情報が、インターネット上のあらゆる媒体やSNSによって、年齢に関わらず、得ようと思えば最新の情報を得られ、学習し、時空を超えて自分のものにする機会を持つことができるようになったことだ。
これによって、年齢が高いからと言ってトレンドに疎い、新しい技術を知らないとは一概に言えなくなってきた。同様に、若い人でも、情報を通して経験豊富な人の仕事を疑似的に追体験したり、年齢の枠を超えて知り合った人を通して同じテーマについて考えたりする機会を持つことができる。このことは、年齢だけでは一概に、相手の意識、知識の量、能力を判断できなくなってきている ということではないだろうか。
わかりやすい例として、81歳でゲームアプリを開発した若宮正子さん(神奈川県在住)などは、プログラミング未経験ながら、東日本大震災のボランティアで知り合った宮城県のアプリ開発会社の方とFacebookのメッセンジャーやSkypeを使って相談しながらゲーム開発を進めたという。
興味と意欲、行動力さえあれば、年齢に関わらず現役でいられる例の一つであろう。
というわけで、これからの時代、きっと経験豊かでかつ新しいことに敏感、チャレンジする“大人”が増えてくるに違いない。そういう人たちが、若い感性とコラボレーションすることで生まれる何かがきっとあるだろう。
DXは、そういった“人”のTransformをより促進している。