【SCMセミナーレポート】“需給計画”の意味を問い直すサプライチェーン改革セミナー
ザイオネックスでは、SaaS型SCPシステム「PlanNEL(プランネル)」の提供だけではなく、SCM(サプライチェーンマネジメント)に関連するセミナーも開催しております。今回は、2025年12月4日(木)に開催した「“需給計画”の意味を問い直すサプライチェーン改革セミナー 〜SCPシステムが企業にもたらすものとは〜」のレポートを公開いたします。
SCPシステム「PlanNEL」の提供を通じて、2025年も企業のさまざまな役割・立場の方々とサプライチェーンマネジメントの課題や取り組みについて意見交換を行ってきました。その中で、「計画策定の仕組みは本当に必要なのか?」という問いに立ち返る機会が多くありました。
そこで本セミナーでは、いくつかの業態や企業の状態を取り上げながら、企業にとって”本当に必要な計画システム”とは何か、仕組み化によってどのような価値が生まれるのかをわかりやすく解説いたします。
サプライチェーンプランニング(SCP)に関するギモン
ザイオネックス 代表取締役 藤原:
もう12月に入り、2025年も終わろうとしています。弊社もこの1年間さまざまな活動を行い、多くのお客様にお会いしてきました。その中で、需給計画やサプライチェーンマネジメント(SCM)に関する、さまざまな疑問やご質問をいただきました。
今日はその内容をご紹介するとともに、私たちとしてどのように考えているのかをお話しさせていただきたいと思います。
まず、SCMの中でも、特にサプライチェーンプランニング(SCP)に関する疑問について、いくつかご紹介します。
そもそもSCMとは何かという点は、私たちは「評価」「計画」「実行」の3つの枠組みをよく用いて説明をしています。

つまり、SCMとは「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)」を行うため、「P・D・C」の枠組みで理解していただくと分かりやすいと思います。
グレーで示している「実行」の部分は日常のオペレーションとして、多くの企業がすでにERPや基幹システムを利用して実施しています。
また、一番上の「評価」についても、過去実績はERPのレポートで確認できますし、最近ではBIツールを導入して可視化している企業も多いと思います。
しかし、その真ん中にある「計画」、すなわちサプライチェーンプランニングについては、各業務担当者に任され、属人化してしまっている場合が多いのではないかと思います。
本日のセミナーでは、特にこの「計画」と「評価」の部分にフォーカスしてお話ししたいと考えています。
ここからは、皆さまから寄せられた「サプライチェーン計画の必要性」に関する疑問をご紹介します。
まず最初に「サプライチェーン計画は本当に必要なのですか?」という、非常に本質的な質問をいただくことがあります。
例えば、
・当たらない需要計画を作っても意味がないのでは?
・調達や生産の担当者が日常業務の中で計画を立てているので、会社としてわざわざ切り出して検討する必要はあるのか?
・うちは受注生産だから、将来の計画は作れないし、必要ないのでは?
・在庫スペースは十分にあります。保管にも困っていません。当社の製品は賞味期限(または使用期限)が長く、保管していても特に問題はないのでは?
・在庫は資産だから、多少増えても問題ないのでは?
といった声です。
また、SCPシステム、つまり“仕組み”の必要性についてもよく質問をいただきます。「本当にSCPシステムって必要なんですか?」という疑問です。
例えばよくあるのが、
・営業担当がSFA(営業管理システム)に見込みを入れているので、わざわざSCPのような計画システムを導入しなくてもよいのでは?そこから需要計画を作る意味は何ですか?
・PSI(Purchasing/Sales/Inventory)、つまり購買/販売/在庫を可視化しモニタリングしていれば、必要な調達量や発注タイミング、生産依頼のタイミングなどは把握できるのでは?
・ブランドごとに販売方法も調達方法も違うし、担当者も決まっている。そのため、ブランドごとにバラバラで、システム化は難しいのでは?
・そもそもSCPシステムにわざわざお金をかけて導入する必要があるのでしょうか?
という質問もいただきます。
これらの疑問を整理すると、大きく「SCPの業務や概念に関する質問」と「SCPシステムに対する質問」の二つに分類できます。

SCPの概念や業務に対する疑問としては、「計画そのものに対する不信感」「在庫に対する認識の違い」があげられます。
また、SCPシステムに対する疑問としては、「計画システムの役割とは何か」「システム導入は難しいのではないか」「コストをかける意味があるのか」があげられます。
まずは、このSCPの概念や業務に対する疑問について、私たちなりの考えを順番にお話ししていきたいと思います。
SCPに関するギモン・質問に関する提言
最初に、「計画に対する不信感」についてお話しします。
よく耳にするのが、「営業が立てる計画は当てにならない」というご意見です。

営業の方は、自分たちが販売する商品の欠品を避けたいがために、どうしても「在庫をしっかり確保してほしい」と言います。そのため、販売量を多めに計画を立てがちです。すると、調達担当や生産依頼を受ける側では、営業の数字をそのまま採用せず、バッファーをとって少なめに発注する、といったことを実務上よくお聞きします。
では、「営業が立てる計画は当てにならないから無視していいのか」というと、もちろんそうではありません。
営業が立てる販売計画を全く無視するのではなく、その根拠を確認し、必要に応じて調整する仕組みを持つことが重要だと考えています。
これはどういうことかというと、営業担当が目標として立てた数字を鵜呑みにするのではなく、販売数字に責任を持つ役職者がその数字の妥当性を評価する必要がある、ということです。
例えば、営業担当が10名いて、東日本・西日本でチームが分かれている場合、東西それぞれに責任者がいるはずです。その責任者は自分たちがどれだけ売り上げを作っていくかの責任を持っているため、責任者は販売実績やトレンドを確認しながら、営業担当が提出した数字の妥当性を評価することが重要です。
「それはすでにやっています」という企業も多いと思いますが、営業部内で行っていてもその根拠や判断が、会社全体の計画にどう反映されているかが履歴として残っていないというケースが少なくありません。
例えば、
・どのような事象が起きたから
・どのような販売計画を立てたのか
・その根拠は何だったのか
こうした情報が、システム上に履歴として残るとより望ましいと考えています。
ただし、システムに残せばそれで十分というわけではありません。これらの情報を関係者間で共有する場が重要です。
S&OP会議や、生販調整会議といった会議体がありますが、特に販売計画というのは会社の活動方針を決める“トリガー”になります。そのため、マーケティングや営業を取りまとめる役職者が参加し、担当者レベルではなく、会社として“合意形成された一つの数字”を確認する場が必要だと考えています。その会議体で「この販売計画で進めましょう」と意思決定を行うことが重要です。
また、「計画策定は日常業務の中で担当者がやっているので、会社としてわざわざ切り出す必要はないのでは?」というご意見もありますが、担当者任せ・属人化は非常に危険だと考えています。
販売計画は、事業運営の“要”となる数字です。
そこに責任を持つ役割をきちんと設けないと、「担当者レベルで頑張っているだけ」の状態となってしまい、会社経営にどう影響しているのかが見えなくなってしまいます。そのため、計画は必ず組織として策定し、責任を持って管理・確認する体制が必要です。先ほど述べた会議体を通じて共有し、確認するプロセスが重要なのはそのためです。
次によくいただくのが、「うちは受注生産だから、将来の計画は作れないし必要ない。PSIも不要だ」というご意見です。
しかし、受注生産だからといって、会社として事業計画を立てないわけではありません。「今年の売上はいくらを見込むのか」「来年の売上計画はどうするのか」こういった計画がなければ、会社は成り立ちません。
営業の方々は既存顧客を担当し、日々営業活動を行い、新規顧客の開拓もされています。つまり、どの企業も“将来の売上を見込んで活動している”わけです。したがって、「受注生産だから販売計画は作れない」という考え方は誤りだと思います。
さらに、受注が来てから部材や原材料の調達を始めて本当に間に合うのか、という問題もあります。
私たちがご相談を受けた企業の中に、受注生産を採用している化粧品メーカーがあります。その企業は、確かに化粧品の中身は受注を受けてから製造する仕組みになっています。消費期限があるため、これは合理的です。しかし、容器は外部のサプライヤーに依頼しています。プラスチック成形の会社に発注しているわけです。
もしその会社が自社の100%子会社であればまだ調整しやすいかもしれませんが、外部企業であれば、注文してから納品まで数ヶ月かかることもあります。さらに容器の設計が必要になるケースもあります。
そうなると、「受注が来てから準備します」というやり方では、他社に案件を取られてしまう可能性があります。自社にしか作れない特殊品であればまだ良いのですが、他社のほうが早く安く対応できるとなれば、競争力の低下につながります。

次に在庫に対する認識についてです。経営者の方から「在庫を適正化しなさい」「在庫を減らしなさい」と号令がかかることがあります。しかし、そもそも在庫とは何かを正しく理解することが重要です。
在庫はそれ自体が勝手に増えたり減ったりするわけではありません。売れれば減る、調達すれば増える、つまり、在庫とは“現象であり結果”です。したがって、在庫管理の担当者に「在庫を減らせ」と言っても、それだけでは解決できません。部門単独ではどうしようもないのです。
一方で、「在庫スペースは十分にあります」「保管も困っていません」「製品の賞味期限(使用期限)も長いです」とおっしゃる企業もあります。
それ自体は事実かもしれませんが、在庫とは本質的にキャッシュです。売れない限り、在庫はキャッシュになりません。つまり、在庫は“眠っているお金”です。会社の成長のためには、在庫をキャッシュに変え、そのお金をより有益な活動に回すべきだと私たちは考えています。
もちろん、十分な資金体力があり、キャッシュに困っていない企業は、そこまで深刻に考えないかもしれません。また、在庫管理を担当している方でも、会社全体のキャッシュ状況まで意識していることは少ないかもしれません。しかし、棚卸しの時には数字を見ることがあると思いますので、在庫を確認する際には「その在庫は将来、必ずキャッシュに変わるのか」を意識していただくと良いと思います。
成長する企業というのは、常に新しい取り組みや人材に投資しています。そのためにも、キャッシュを有効に使う必要があります。ですから、「在庫スペースが十分あるから置いておけばよい」という考え方では不十分だと思います。
また、「在庫は資産だ」と言われることもあります。
確かにバランスシート上では資産ですが、回転しない在庫は“悪”です。
調達品はもちろん、自社で作っている製品であれば、お金と人と時間をかけて付加価値をつけたものです。それが倉庫に長期間眠っている状態は健全ではありません。長期の不動在庫は、たとえ製品寿命が長くても、会計上は資産価値が下がっていきます。
ですので、「在庫は減らせばいい」という単純な話ではありませんが、在庫を有効活用し、適正なレベルで保持することが重要です。

次に計画システムの役割についてです。
よくいただく質問として、「当社ではSFAで見込み管理をしています。営業が自分の見込みを入力しているので、わざわざSCPのシステムで需要計画を立てる必要はないのでは?」というものがあります。
この点について、必ずしも完全に誤りだとは言いません。しかし、営業活動の管理のための販売計画と、供給計画につながる販売計画では、数字の性質が異なると考えています。したがって、SFAの情報を供給計画につなげるための“参考情報”として使うのは良いと思いますが、そのまま販売計画として扱うのは適切ではない場合があります。
理由として、営業の販売計画は営業担当の業績評価のための目標や、営業活動の指標として用いられることが多いためです。ですので、SFAで営業管理をしていること自体は非常に良いことなのですが、その数値をそのまま「これで生産してください」「これで調達してください」と供給側の計画に使うのは危険だと思います。
一方、SCPのシステムで需要計画を立てる場合は、「金額を数量に換算する」「営業の見込みを参照情報として取り込む」「供給計画につながる販売計画を再構築する」といったことが可能です。つまり、SCPシステムを使って販売計画を立てる意義は、単なる一つの指標を作るためではないということです。
販売計画には「マーケティング部門が考える販売計画値」「予算管理のための計画値(財務視点)」「営業が担当する販売目標値」「供給計画につなげるための販売計画値(SCP視点)」など複数の“計画値”があります。
最終的には、さまざまな情報を分析・調査し、関係部門で調整した上で、供給計画へつなげるための販売計画値を確定させる。SCPシステムには、そのための仕組みが備わっています。
さらに、輸出入品を扱う企業の場合、ドル換算、円換算、現地通貨での評価など、通貨換算も必要になります。SCPの販売計画システムでは、それらも一元的に管理できます。
また、調達品であれば、標準原価を設定しておくことで、「利益率の低い品が大量に売るより、利益率の高い品が売れるほうが良い」といった視点で、戦略的に販売計画を設計することもできます。
したがって、SFAとは目的が異なり、用途も別物として考えていただくのが良いと思います。
次に、「PSIを可視化してモニタリングしていれば、調達や生産の予定は作れるのではないか」というご質問もよくいただきます。私たちも、PSIの可視化は非常に有用だと考えています。
多くの企業がBIツールなどを導入し、過去のデータを分析されていると思います。過去データの分析においては、視点(軸)を変えて可視化するのは非常に有効です。
たとえば、「製品カテゴリー別」「SKU別」「得意先×品目」「地域別」など、さまざまな切り口で「どこで・何が・どれだけ売れたのか」を分析することは、大変価値があります。
過去のPSIが分かれば、「過去にこれだけ売れたから、その前にこれだけ在庫を構えておこう」といった予測はある程度可能です。
ですが、過去のPSIはあくまで“結果”であって、将来を保証するものではありません。将来どうなるかを見極めるには、根拠となる将来の数字が信頼できるものでなくては意味がありません。そのため、将来のPSIを可視化できる仕組みが重要だと考えます。

次に計画システム導入の難しさについてです。
よく聞く理由としては、「ブランドごとに販売方法も調達方法も違う」「担当者が固定されており属人的」「標準化ができないのでは?」といった声です。しかし、ブランドや製品カテゴリーに違いがあっても、会社として一定の基準を設け、標準的なプロセスを仕組み化することは大事だと考えています。
例えば、定番品と季節・キャンペーン商品では売れ方が異なるため、計画の更新頻度(計画サイクル)や計画期間が違うことがあります。このような場合であっても、「どのような根拠で数字を作ったのか」「どのような情報を基に判断したのか」といった記録が残り、関係者で共有される仕組みが必要です。
また、販売計画の根拠を将来の販売戦略やキャンペーンに活かす取り組みにも繋げられると思います。
ですので、「システムは難しそう」と感じられるかもしれませんが、こうした柔軟な対応ができる仕組みを選ぶことも一つのポイントだと思います。

次にSCPシステム導入の必要性についてです。
ここが最もハードルの高い部分かもしれません。「わざわざお金をかけて導入する意味があるのか?」というご質問は本当によくいただきます。
ERPは「必要だ」とみなさん理解されており、どの企業も導入していますが、「計画を立てるために、どこまでお金をかけるべきか」と考えると、判断に迷われるケースが多いようです。
現場の担当者は計画業務に苦労されているのに、経営層やマネージャークラスの方が「現場が頑張ればいいのでは?」とおっしゃるケースもよくあり、そのギャップに悩んでいる企業が多いと聞きます。
ただし、企業の状況にもよりますが、ほとんどの場合、計画システムは事業改善に貢献します。これは私たちの経験から、はっきりと言えることです。
例えば、過剰在庫が課題の企業であれば、キャッシュ創出に大いに役立ちます。欠品で販売機会を失っている企業であれば、売上改善に繋がります。属人化に依存した計画策定の企業であれば、退職・教育といったリスクを大幅に減らせます。
したがって、導入検討の際に「現場の効率化」や「人員削減」だけを軸に考えてしまうと、投資に抵抗が生まれるかもしれませんが、“経営判断の意思決定に寄与する仕組み”として考えると、導入の価値がより明確になると思います。
また、企業の体力に合ったシステムを前提にすることが重要です。
欧米には非常に高価で高度な計画システムが存在しますが、中堅・中小企業がそれを導入して本当にペイするのかと考えると、疑問が残ります。
また、大企業であっても、事業部単位ではそれほど規模が大きくないケースもあります。事業部ごとが「一つの会社」のように動いている場合は、その事業規模に合ったシステムを選ぶことが望ましいです。
逆にSKUが少ない企業や、Excelで十分に管理できる企業、間歇需要品(年に数点しか売れない工芸品など)や完全受注生産品を扱っている企業では、システム化のメリットはそれほど大きくないでしょう。
ここまで、皆さまからいただく疑問・質問に対して、私たちの提言をお話ししてきましたが、最後にSCMが企業にとってどのような意味を持つのかを、改めて整理したいと思います。
SCMが果たす役割

私たちは、SCMは企業経営の“要”であるということを強くお伝えしたいと考えています。
どの企業にも「販売」「生産」「調達」は存在し、そのバランスが崩れると、キャッシュフローの悪化や、企業の成長が止まる問題が発生します。皆さまも日々の業務でよくご存じのとおりです。
しかし実際には、「顧客から受注したのに出荷できない」「売れると思って生産したのに売れず、在庫が過剰になってしまう」といった事象が起きています。これは完成品だけに限らず、製造に必要な部品や原材料においても同じです。
需要と供給のバランスを表す指標として「在庫」は分かりやすい指標ですが、先ほど申し上げたように、在庫だけを見ても解決できるものではありません。
経営者層や事業部門のトップの方々は、会社のお金や事業運営の視点から、サプライチェーン全体を広く見る必要があります。

サプライチェーン領域は非常に広く、研究・開発→営業→調達→生産→在庫→配送→販売→保守(アフターサービス)までを含みます。
そのため、
・どんな製品を作るか(開発)
・それは生産しやすい設計か
・どこから調達するのか
・どの市場に、どう販売するのか
・アフターサービスの体制はどうか
といった幅広い視点で戦略を考える必要があります。
したがって、これらを俯瞰的に見る役割は、会社の一部門だけでは担いきれません。やはり経営者や事業トップが率先してリードし、サプライチェーン戦略を推進することが重要です。
言い換えれば、SCMは「経営変革を実現するための重要な手段」であると位置づけられると思います。
ですので、受給・生産・調達・販売、そして財務までを含めて、“同じ未来を繋ぐ” という視点で業務を繋いでいただきたいと思います。 現場のオペレーションも非常に重要ですが、経営層が現場任せにするのではなく、同じテーブルで議論できることが必要 です。その意味で、サプライチェーン計画は“企業文化を変えるための協調の仕組み” にもなり得ると、私たちは考えています。
SCPシステム「PlanNEL」の紹介

最後に、弊社ではこうした取り組みを実現するための仕組みとして、2022年よりSCPシステム「PlanNEL(プランネル)」 を提供しています。
PlanNELは、必要以上に大きな費用をかけずに短期間で導入し、まず試していただける需給計画プラットフォーム です。
簡単に機能をご説明しますと、まず計画に必要なのは、過去の販売実績や期首在庫のデータです。これらをご準備いただき、本番運用では基幹システムと自動連携させます。これらのデータをもとに、AIが未来の需要を計算します。これが 需要予測(BF:Baseline Forecast) です。
次にAIが作成した需要予測に対し、営業が持つ情報や、マーケティングのキャンペーン情報などを反映し、必要に応じて計画値を調整します。このプロセスを「意思入れ」と呼ぶことがあります。
そうすると、将来の需要に基づき、「どれくらい在庫を持っておけば良いか」という基準(主に安全在庫)を決めます。これも計算で求めることができます。
次に在庫拠点が複数ある場合でも、どの拠点に、どれだけ製品在庫を補充すべきか、あるいは発注・生産依頼をどれくらい行うべきかを算出します。これはいわゆる “必要量(必要補充量)” の計算です。
さらに、このマスタープランニング(MP:MasterPlanning)、いわゆる受給計画の領域では、「需要に対して、工場の能力を勘案して、どれだけ供給できるのか」を検証します。
自社工場がある場合は“生産の大日程計画”にあたります。つまり、「本当に自社工場の能力で、この数量が作れるのか?」ということを計算します。これを“Return to Forecast”と呼んだりもしますが、要は、需要に対する供給可能性を評価するプロセスです。
そして、この結果が基幹システムに戻り、生産依頼や発注へとつながっていきます。これが全体の流れです。
この仕組みはSaaSとして提供されており、画面をご覧いただくと分かるのですが、青い部分は、システムによる自動化も可能な領域です。
一方で重要なのは赤い部分です。「必要に応じて計画値を調整する」と書かれていますが、ここが人による判断・意思決定が最も必要な部分になります。
このサイクルを継続的に回していくことで、計画の妥当性を検証し、精度を高めていくことができます。私たちは、この継続的なサイクルの改善こそが非常に重要だと考えています。
本日のセミナーは以上となりますが、もし追加でご質問やご興味がございましたら、いつでもお問い合わせください。
また、弊社では、SCMセミナーを月1回程度の頻度で開催しておりますので、ぜひまたご参加いただけたらと思います(セミナーの一覧はこちらから確認できます)。