SCM事例

東部製鉄

SCM

需要特性リスクを「生産座席の確保」で回避。リードタイムを50%削減

概要

東部製鉄は、韓国東部グループの中核会社の一つとして、1967年に冷延鋼板を生産して以来、様々な地域の工場を介して熱延鋼板、冷延鋼板など年間約400万トン規模の様々な鉄鋼製品を生産しています。冷延鋼板部門は、1999年に世界の鉄鋼業界で初めて、原料投入から製品出荷までの全工程を完全自動化した牙山湾工場の竣工を機に、世界最高の競争力を確保しました。東部製鉄の電気炉製鉄工場は、高炉能力に対する投資額を抑えて建設し、CO2排出量とエネルギー消費量を大幅に減らしたことから、高い経営効率と生産性を確保した未来型の製鉄所として脚光を浴びています。東部製鉄は、銑鉄を溶かして熱延鋼板の冷延鋼板まで一貫生産する一貫製鉄会社として位置づけられており、”競争力世界一の製鉄会社”を目指して力強く飛躍しています。

導入背景及び目標

顧客はデパートでショッピングするように、完成品の在庫一覧表から東部製鉄の鉄鋼製品を購入する特性があります。このような需要特性が東部製鉄経営のリスク発生のきっかけとなりました。不確実な情報による予測で原料および完成品の提供と在庫が増加することにより、不良在庫が顕在化していました。また、頻繁な計画変更と物流変更により、生産と物流管理の複雑さが増していました。これにより、不必要な操業コストが増大するとともに、製品の品質低下を招いていました。東部製鉄は市場で生き残るためには顧客中心のプロセスを再設計、それに基づいたシステム基盤の迅速かつ正確な意思決定をすることが必要と判断しました。これに対する解決策として、東部製鉄は”生産座席予約方法論(Production Seat Reservation Methodology)”を業務に適用しました。これは飛行機の座席予約制のように、航空券を予約すると窓口のスタッフが即座に航空券を発券するのと同様に、顧客の注文に対して”生産座席”を確認し、決まった時間内に注文を約束するシステムを実装するものです。

構築の効果

需要予測、納期返信、統合マスタープランと詳細スケジューリング領域にザイオネックスのSCMソリューションを適用することにより、東部製鉄は原料、生産能力を考慮した生産座席制を実施し、生産・販売・購入計画の同期システムを確立しました。原材料の事前準備システムの構築により顧客納期を保証するシステムを一段階アップグレード、月単位の計画システムを週単位の管理体制に変更し、リードタイムを短くすることができました。在庫処理優先の仕組みを確立し、適正な在庫管理システムを構築しました。またATP(Available to Promise)システムを実装することにより需要計画担当の購入依頼に速やかに納品可能な日程を返し、確定した順序どおりに生産計画が滞りなく行われるようにして、在庫の画期的な削減を達成しました。材料/在庫/再販レベルが52%減少し、顧客へ5分以内に回答する体制が確立され、平均出荷のリードタイムは48%減少しました。