2022.08.31

寸断リスクが高まるサプライチェーンを最適化せよ。日本の中堅・中小企業用に開発されたソリューション

コロナ禍で、サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)が注目されている。

サムスン、LG、ブラザー工業など400社以上にSCMソリューションを提供するザイオネックスの日本法人代表に、SCMの本質的な役割と重要性が高まっている理由を聞いた。

サプライチェーンの最適化は喫緊の課題

サプライチェーンとは、原材料・部品の調達から加工・生産、在庫管理、配送、販売、消費までの一連の流れを指す。滞りなく消費者へ製品を届けるため、このプロセスを適切に管理し、全体の効率化・最適化を目指す経営管理手法がSCMだ。ザイオネックス日本法人代表の藤原玲子は、その役割についてこう説明する。

「コスト削減や利益拡大のため調達先や製造拠点はグローバルに展開され、供給網は消費者ニーズの多様化もあって複雑化しています。過剰在庫や欠品を防ぐためには、日常のオペレーションのみならず中長期の予算と整合した販売計画をベースにした工場の能力計画や調達計画が必要になります。企業としての競争力を保つうえでも、SCMの最適化は必須事項と言えます」

しかも、コロナ禍や自然災害、国際情勢の変化など、サプライチェーンは常に寸断リスクにさらされている。適切なSCMができていないと企業活動の継続が困難になるおそれもあるのだ。さらに、ESGやSDGsの観点からもSCMの最適化は欠かせないと藤原は指摘する。

「無駄な廃棄を減らし、製造設備や輸送の省エネ化を進められるからです。当然、CO2削減にも有効です。過去の実績把握だけでなく、将来の削減量もシミュレートできますので、CO2排出量の報告が義務付けられている企業以外も、その価値を向上するのに役立つでしょう」

経営戦略としてのSCM

ところが、日本企業の多くはSCMへの対応が遅れているという。藤原は「マイクロマネジメント」と「世界標準のSCMへのリテラシーの低さ」をその理由に挙げた。

「マイクロマネジメントになってしまうのは、ものづくりに代表されるオペレーションの精度の高さも影響しています。現場への信頼が高いため、全体を俯瞰するマネジメントの必要がなかったとも言えます。結果、『営業は多めにつくれと言うけど、いつも余るから少なめにしよう』と工場が判断してしまうのです。これを解決するには、組織的な意思決定やゴール・プロセスの仕組みを整えなくてはなりません」

しかし、マイクロマネジメントが常態化しているためか、AIやRPAといった部分的なIT化で解決しようとするケースが目立つ。SCM部門や担当者もアドバイザーとしての権限しかもたないため、経営問題として認識されにくい。ふたつ目の「世界標準のSCMへのリテラシーの低さ」問題も、そうした状況を助長する。

「サプライチェーンの関係者は実に多様です。それらをつなぐ『共通言語』として、SCMの標準プロセスや用語が使われますが、日本ではSCM担当者でもそれらを知らないケースが少なくありません。いくら優れたシステムを構築しても、使いこなせない状態なのです」

ザイオネックス 藤原

一方世界では、SCMに携わるビジネスパーソンはASCM(旧APICS)の認定資格を取得するのがスタンダードとなっている。経理職にとっての簿記資格のようなものだ。取得を義務付ける企業もあり、全世界で約10万人が取得しているが、日本ではまだ認知度も低い。残念ながら日本は、SCMにおいて後進国なのである。

低価格・短期間で導入可能なSaaS

ザイオネックスは、こうした状況を打破し、日本の製造業を活性化しようとしている。SCMはエンタープライズ向けというイメージが根強いが、前例のない中堅・中小向けのソリューションを提供しているのだ。藤原は、その真意を次のように語る。

「サプライチェーンは1社だけで成り立つものではありません。逆にいうと、1社の価値向上がどんどん連鎖すればシナジーが高まります。CO2削減のみにとどまらず、互恵経済を実現して社会のサステナビリティを高めるためには、SCMを広げていく必要があります」

とはいえ、SCMソフトウェアは高額だ。ザイオネックスの製品は他社の3分の1程度とリーズナブルだが、それでも中堅・中小企業には手が出にくい価格だった。

「そこで、低価格化を実現するためSaaS化にチャレンジしました。当初は社内でも『ビジネスとして成立するのか』といった議論がありました。しかし、できるだけ多くの企業でSCMを最適化してもらうことを優先すべきだと考えたのです」

このチャレンジを可能にしたのは技術力の高さだ。そもそも同社は、米国MITで博士号を取得した3人によって創業。当初より欠品や過剰在庫を最小化する組み合わせ最適化シミュレーションなど、最先端のデータサイエンス技術を駆使。さらに、20年以上にわたって培ったノウハウを投入し、「PlanNEL(プランネル)」を2021年9月にリリースした。AIを活用して需要予測、販売計画、発注計画のDXを実現するSaaS型のSCMプラットフォームである。

「実績データを投入するだけで最適な計画をシミュレーションし、全部署で共有することが可能です。業務領域ごとに機能を切り分けたモジュールタイプのため、低価格・短期間でスモールスタートし、徐々に拡大していただけます。SaaSですので、企業の課題や時代のニーズを取り込んで随時アップグレードしているのも特徴です」

伴走型のサポートにこだわる理由

ちなみに「PlanNEL」は、現時点で日本市場のみでの展開。異例の戦略を後押ししたのは、「自分たちの技術を社会のために生かしたい」という熱い思いだ。

「私も当初驚いたのですが、創業者の3人はいずれも非常に謙虚で情が厚く、『自分たちの開発したものが日本の企業に受け入れられるのか試したい』というのが、日本進出のきっかけでもありました。SaaS化のチャレンジも、日本で喜ばれるならと後押ししてくれました」

人のつながりを大切にする姿勢は、顧客サポートにも反映されている。

「よくお客様から『製造業のモノづくりみたい』といわれますが、弊社はソフトウェアだけの提供ではなく、コンサルティングから導入、保守まで一貫してサポートしています。これは、SCMが深く組織や経営に関与すると考えているからです。運転技術を座学だけで習得できないのと同じで、データの利活用や意思決定のプロセスは、実際にやってみなければ身につきません。伴走して意識や行動様式を一緒に変えていく泥くさい活動を大切にしています」

鉛筆を片手に毎日夜遅くまで在庫調整をしていたのが、いまでは瞬時に可視化されて業務が効率化。属人化していたナレッジも標準化したといった顧客企業の変革を支えてきたのは、そういった地道な取り組みなのだろう。

製造業は日本の産業の45%を占める。その大半が中堅・中小企業であることを踏まえれば、SCMの普及は日本経済の活性化に寄与するだけでなく、前述したように無駄な廃棄を削減し、地球全体の資源の有効利用に貢献するだろう。そのためにSCM導入の最大の障壁ともいえる「金銭的なハードル」を下げ、意識変革をサポートするザイオネックスの取り組みの意義は大きい。サプライチェーンだけでなく、サステナブルをマネジメントするSCMベンダーとして、存在感を増していきそうだ。

ザイオネックス
https://zionex.co.jp

SaaS型SCMソリューション「PlanNEL」
https://zionex.co.jp/lp/plannel/


ふじわら・れいこ
ザイオネックス日本法人 代表取締役社長。上智大学卒業後、外資系コンサルティングファームなどを経て、2010年にザイオネックス日本法人の前身であるコムネクストに参画し、大手自動車部品サプライヤー向けのIT戦略、PLM/基幹システムの構築をけん引。13年8月より現職。

text by Hidekazu Takahashi | photograph by Shuji Goto | edit by Yasumasa Akashi
本記事は、Forbes JAPAN BrandVoice (2022/4/25掲載) の転載記事です。

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