SCM業務はどう変わる?生成AI活用の「今」がわかるセミナー|SCMセミナーレポート
ザイオネックスでは、SaaS型SCMシステム「PlanNEL(プランネル)」とコンサルティングサービスの提供だけではなく、SCM(サプライチェーンマネジメント)に関連するセミナーも開催しております。今回は、2026年5月27日(水)に開催した「SCM業務はどう変わる?生成AI活用の『今』がわかるセミナー」のレポートを公開いたします。
「生成AI」が連日話題となる一方で、「実際のSCM業務にどう組み込むべきか?」「他社はどのように活用しているのか?」と手探り状態の担当者様も多いのではないでしょうか。
当社の本社がある韓国(ソウル)では、製造業におけるSCMのシステム化が広く浸透しております。さらにテクノロジーの社会実装が日本より一足早く進んでいるため、すでに生成AIを活用したサプライチェーン最適化が現場レベルで動き出しています。
本セミナーでは、需要予測の精度向上や属人化しやすい発注業務の標準化など、生成AIによってSCM業務がどのように変わりつつあるのかをわかりやすく解説いたします。
目次
AIの分類
本日は、SCM業務とAIについてのお話をいたします。
「なぜSCM業務にAIなのか」という点に触れる前に、まずは一般的にAIと呼ばれているカテゴリーの整理をしました。世の中で「AI」と呼ばれているものは、大きく分けると「ルールベースAI」と「機械学習」の2つに分類されます。

「ルールベースAI」は、SCM業務の分野において従来からよく使われているものです。生産スケジューリングや需給の最適化などを、人間が定義したルールに従って計算を行い、答えを導き出す仕組みです。人間がルールを定義するため、プロセスを説明しやすく、安定性が高いという特徴があり、会計や税務といった法規制の厳しい処理において多く活用されています。
一方で、もう一つの「機械学習」についてです。現在、「AI」と言ってイメージするのは機械学習を指すことが多いと思います。機械学習はさらに「深層学習(ディープラーニング)」と「従来型ML(マシンラーニング)」に分かれます。従来型MLも決して古い技術ではなく、現在でも多く活用されています。深層学習との違いをお伝えすると、従来型MLは「人間がデータの特徴を設計する」という点にあります。
例えば、需要予測をする際に曜日や気温、キャンペーンなどの需要影響因子をあらかじめ「特徴量」として与えて学習させるのが従来型MLです。他にも、ディシジョンツリーやランダムフォレストといったモデルが、需要予測や異常検知などに活用されています。
そして本日、お話しする「AI」として位置づけたいのが、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)です。LLMは大きく「生成AI」と「AIエージェント」に分かれます。
「生成AI」については、皆様もすでに日常的に利用されているかと思います。一番の特徴は「自然言語を扱えること」であり、プロンプトで問い合わせをすると、自然言語で回答を返してくれるというものです。
一方で「AIエージェント」は、人間に代わって処理を代行し、実行してくれるものを指します。
本日は主に、このLLM領域を「AI」と呼んでお話を進めていきたいと思います。
ルールベースAIとLLMの違い
次に、ルールベースAIとLLMの違いについてまとめました。
図に記載の通り、判断の方法、柔軟性、説明性など、さまざまな面で違いがあります。

最も大きな違いは、ルールベースAIは「人間がルールを定義する」という点です。
以前、このお話をした際に、「人間が全てのルールを定義できるのであれば、わざわざ高度なAIを使わなくてもよいのではないか」というご意見をいただいたことがありました。
しかし、ビジネスにおける全てのルールを人間が網羅して定義するのは現実的ではありません。構築コストの面でも、複雑なルールが大量に必要になったり、新しいルールを追加した際に既存ルールとの間で矛盾が生じてしまったりといった問題が起こります。
とはいえ、ルールベースAIは、一つのインプットに対して、揺らぎのない正確な答えを出してくれるため、非常に優秀な仕組みです。
一方でLLMは、自ら学習して判断を行い、新たな事象が発生した際は、そのデータを取り込んで柔軟に対応してくれます。学習データをもとにAI自らがルールを見出してくれるため、人が手作業で膨大なルールを書き起こす手間がかからないという大きなメリットがあります。また、想定外の事態への対応に関しても、LLMは比較的強いと言われています。
ただし、LLMにも課題があります。
1つ目は、説明性の低さです。 人間がルールを設定しているわけではないため、なぜそのような結果になったのか、根拠を説明するのが難しい場合があります。
2つ目は、安定性です。 同じインプットに対しても、必ずしも毎回同じ答えが返ってくるとは限りません。
3つ目は、処理速度です。現在、世界中でデータセンターが過熱気味になっています。より速い処理速度を求めたり、AIに学習させたりするには、世界中のデータセンターの膨大なリソースやGPUが必要になります。その都度学習して答えを出すという仕組み上、どうしても処理速度が遅くなる場合があります。
このように、LLMにも良い点も悪い点もそれぞれありますが、徐々に実ビジネスで使われるようになってきたという背景を踏まえ、ここからは「なぜ今、SCM業務にAIなのか」についてお話ししていきたいと思います。
SCM業務にAIが利用されるようになった6つの理由

まず、SCMにAIが利用されるようになった理由を6つまとめてみました。
大きな要因としては、「SCM自体が非常に複雑であること」と「人間に依存している領域が多いこと」だと考えています。
具体的な6つの理由は以下の通りです。
・人間依存が大きい
・例外処理が多数ある
・システム自体が複雑
・「なぜこのような計画になったのか」という説明性が重要
・非構造データを扱いたい
・業務横断でPDCAを回したい
それでは、これらについて一つずつ簡単に説明いたします。
まず1つ目の「SCM業務は人間の依存度が大きい」という点です。

実際の現場では、システム上のデータだけでなく、さまざまな「人間系の業務」で大量の調整を行なっています。電話をかけたり、会議を行ったり、状況を確認して誰かに説明したり、調べ物をしたりと、多岐にわたる業務をこなしています。こうした日常的なコミュニケーションこそが、まさに「自然言語」で、SCM業務の多くは自然言語で処理されています。こうした業務をシステム上のデータだけで処理しようとすると、どうしても不便さを感じてしまいます。そこで、LLMが活きてきます。
例えば、「欠品理由を知りたい時」を想像してみてください。
従来であれば、どの画面を見れば欠品理由が分かるのかを知っている担当者が、まず分析画面にたどり着き、画面のグラフなどから理由を読み解いて、関係者に説明するためのメールを作成する……といった一連の作業が必要でした。
しかしAIを活用すれば、人間がプロンプトから「欠品理由を説明してください」と自然言語で命令を出すだけで、AIが原因分析やグラフの要約をしてくれます。場合によっては、AIエージェントが報告用のメール文面まで自動作成してくれます。
次に、2つ目の理由である「例外処理が多数ある」という点です。

実際のビジネスにおいて、物事は計画通りには進まないことが多いです。例えば、災害や輸送遅延、原材料不足、為替変動など、さまざまな事象が起こり、どうしても想定外の事態に対する個別対応が発生してしまいます。
このような際に、「過去に同じような事態があった時、どのような対応をしたか」を、データベースから検索しようとしても、キーとなるデータが見つからず苦労することがあります。しかしAIであれば、人間がプロンプトから「過去の同様の対応について教えて」と自然言語で尋ねるだけで、社内データや大量の公開データから文脈を読み取り、適切な対応策を説明してくれます。
次に、3つ目の理由である「SCMシステムは複雑である」という点です。

これは私たちが提供しているSCMシステムを含め、決して操作がすごく簡単とは言えなかったという反省も含まれていますが、SCMシステムを導入したものの、「どの画面を見れば何が分かるのか、直感的な操作が分からない」というケースは少なくありません。
例えば、経営層が「特定製品の売上動向を見たい」と思った時、ご自身で複雑なシステム操作をするのではなく、今すぐ直感的に知りたいはずです。
従来であれば、トップ画面から何度もクリックしてメニューから販売レポートを選び、品番で検索し、品番が分からなければさらに検索をかけてフィルターを設定し、ようやくグラフを表示させる……というように、何段階もステップを踏む必要がありました。
しかしAIを活用すれば、人間がプロンプトに「製品Aの売上傾向は?」と入力するだけで、AIがデータベースから必要な情報を検索し、該当するグラフにナビゲートしてくれたり、直接回答を提示してくれたりするのです。
こうした直感的なシステム操作は、皆様が日常的に使っていらっしゃるChatGPTなどでのプロンプトの使い方と同じ感覚です。
次に4つ目の理由ですが、「SCMでは説明が重要である」という点です。

SCMシステムでは、自動的に生産計画や発注計画など、さまざまな計画を作成してくれます。しかし、「計画は作成されたものの、なぜそのような計画になったのか根拠が分からない」という問題がしばしば起こります。
特に生産スケジュールの現場では、こうした疑問を抱くことが多いのではないでしょうか。
例えば、「納期は同じはずなのに、なぜ製品Aの生産が製品Bより後回しになっているのか?」という理由を知りたいとします。従来であれば、マスターデータがどうなっているか、パラメーターの設定値はどうなっているかなど、人間がさまざまな設定を調査して推測する必要がありました。
しかしAIを活用すれば、人間がプロンプトに「なぜ製品Aは製品Bより後に生産されるのですか?」と質問するだけで、「製品Bの原料は在庫がありますが、製品Aを生産するための原料入荷が間に合わないためです」といった具体的な回答を即座に得ることができます。
そして5つ目の理由、「非構造データを扱いたい」というニーズです。ここは非常に大きなポイントだと考えています。

これまでコンピュータによる処理といえば、決められたルールやフォーマットに従って整理されたExcelやリレーショナルデータベースなどのデータが前提でした。そこにキー項目となるIDやナンバーが付与して、このキー項目を軸に処理を行うのが一般的です。しかし実際の業務は、このようなデータベースに入っている「構造化データ」だけで完結しません。
例えば、
・サプライヤーとのメールのやり取り
・PLM(製品ライフサイクル管理)システム内の情報
・社内データベースにPDFで保存されている製品の原材料情報
・別の形式で文書化されたお客様の注文情報や製品仕様
さらに、コミュニケーション手段はメールだけでなく、Slackなどのチャットツールにも広がっています。皆様も日々、こうした多種多様なデータを扱いながら業務をされているはずです。
このような「非構造データ」をシステムで扱おうとすると、内容を「自然言語」として理解し、処理する能力が必要になります。例えば、「サプライヤーからの遅延連絡メールを分析して」といった命令を出して実行させるのも、まさにLLMが得意とする分野なのです。
最後に6つ目の理由、「業務横断でPDCAを回したい」という点です。

「異常検知」を例にあげてみます。従来、何らかの異常が検知された場合、人間が原因分析を行い、解決案を作成し、複数のレポートやデータを確認した上で関係者に共有するというステップを踏んでいました。
これからは、この異常検知がIoT機器などによって自動的に行われる環境であれば、AIエージェントに解決処理まで任せることも技術的には可能です。もちろん、安全を期すために閾値の範囲内でのみ自動実行させるのが現実的です。
さらに、「何らかの異常が見つかりましたが、どう対応したら良いですか?」とAIに質問することで、設計部門や製造部門など、さまざまな部門が持つデータをAIが横断的に分析し、過去の対応履歴を検索して最適な解決策を提案してくれる、ということもAIを活用すれば可能になります。
このように、さまざまな業務をこなせるAIですが、これだけに頼り切るのは非常に危険だと考えています。

その理由は4点あります。
1つ目は、間違った計算結果を出すことがあることです。LLMは、単純な足し算や掛け算でも間違えることがあります。なぜなら、LLMは数字を「数学的な意味」として捉えているのではなく、単なる「文字列」として処理しているからです。
2つ目は、答えが毎回変わる可能性があることです。毎回必ず変わるというわけではありませんが、同じインプットに対しても出力結果が変わることがあります。つまり、再現性が確実ではありません。SCMという「確実性」が求められる領域において、これは大きな問題となります。
3つ目は、自信満々に間違うことです。間違った情報を、さも事実であるかのように自信満々に答えることがあります。いわゆる「作り話」をしてしまうリスクです。
4つ目は、勝手に実行することです、AIが勝手にアクションを実行してしまうリスクです。人間が実行させてはいけない処理まで独断で実行してしまうと、非常に深刻な問題を引き起こします。
このようなAIのエージェンティックリスクを避けるために、正しい情報源として世の中の一般的な公開情報だけでなく、特定のデータベースや社内文書を利用することが非常に有効です。「RAG(検索拡張生成)」と呼ばれる仕組みを活用し、社内の重要な文書やデータをAIに読み込ませて回答させるようにすることが非常に重要になります。
加えて、「従来技術」との組み合わせも重要です。LLM単体で完結させるのではなく、ルールエンジンや数理最適化といったこれまで活用してきた従来の技術も十分に使い、「ハイブリッド」で運用するのが良いと考えています。そして何より、そこに「人」がきちんと関与することが不可欠です。
AIでSCM業務はどう変わる?
ここからは、「今後SCM業務はAIでどう変わるのか」というお話をいたします。
その前提として、SCM業務で利用されるAIについて改めて整理してみました。これまであげたルールベースAIやLLMが、具体的に「SCM業務の何に使われているのか」という点です。

機械学習は、需要予測や異常検知、最適化などに使われます。過去の実績データを学習し、そこから傾向やルールを見出します。
ルールベースAIは、「どのような条件の時に、どう処理するのか」というルールをあらかじめ人間が設定しておき、それに基づいて実行するAIです。
LLM/生成AIは、自然言語によるユーザーインターフェースをはじめ、レポート生成、問い合わせ対応、ナレッジ検索などに活用できます。
AIエージェントは、人間に代わって処理を代行するものです。自律的な需給調整、サプライヤーとの交渉支援、異常発生時の対応やオペレーションの自動化といった業務に使われます。
このように分類していくと、SCMにおけるLLMの大きな役割の1つは「インターフェース」になります。

人間が「自然言語」で問い合わせをすると、システムから連携されたさまざまなデータや非構造データを参照し、AIが回答してくれる。このように考えると、LLMの大きな役割の一つはまさに「ユーザーインターフェース」であると言えます。
そしてもう一つの役割が、「AIエージェント機能」です。これは人間の処理の代替や、業務の自律化を指します。

例えば、IoTを通じて「輸送船の停滞状況」がシステムに送信されたとします。この時、AIが「もしこの船が3日間停滞した場合どうなるか」という影響分析を行い、さまざまなケースを想定した上で「代替の輸送手段」を提案してくれます。
人間は、提示された複数の提案から最適な代替手段を選択することもできますし、あらかじめルールが決まっていれば、代替手段をAIに自動的に選ばせることも可能です。
では、こうした技術によって今後のSCM業務はどう変わっていくかと言うと、従来は人間がすべて判断していましたが、今後は「AIと協働して意思決定する」スタイルに変わっていくと考えています。

そもそも、SCM業務におけるSCPシステムは何のために存在するのかというと、「人間の判断や意思決定を支援するため」です。これまでは「最終的な判断・意思決定は人が行う」という前提がありましたが、これからは必ずしもそうとは限りません。AIと協働して意思決定を行うため、これまで人間が中心となって行っていたデータ収集や分析も、AIの技術が使われることで自動化され、支援を受けられるようになります。
生産スケジューリングなどの最適化においても同様です。かつては人間が頭を悩ませて工程を組んでいましたが、現在ではAIやOR(オペレーションズ・リサーチ)の技術を駆使して、システムの実行・判断が行われるようになっています。
これまで人間だけが行っていた判断・説明・調整といった業務を、今後はAIが支援してくれます。人間が自力で確認できるデータには限界がありますが、AIであればさまざまなデータを横断して業務を実施することができます。こうしたAIの探索能力や処理能力をうまく応用しつつ、そこに人間の「知見」をプラスして最終的な判断を下していく。これが、これからのSCMにおけるベストな意思決定のあり方ではないかと思います。
では、こうした環境の変化の中で「人」の役割はどう変わっていくべきなのでしょうか。
これまでSCMの現場では、「Excelの職人」と呼ばれるような、複雑なことができる方が非常に重宝されてきたかと思います。しかし今後は、そうした属人的なExcelスキルは徐々に不要になっていくはずです。これからの人間に求められるのは、むしろ「AIへ適切な指示を出す力」です。

また、人が自らデータ処理そのものを行うのではなく、「AIが出した結果の妥当性を確認する」ことが大きな役割となるため、適切な判断能力が求められます。
システムの複雑な操作スキルよりも、AIとの対話を通じて経営判断や意思決定を行っていく能力が必要になってくるのです。
プランナーの仕事も変化します。従来は「プランを作成すること」自体が業務の中心だったかもしれませんが、今後は「調整業務」が中心になると考えています。
調整業務とは、他部署と会話をしたり、サプライヤーに依頼や問い合わせを行ったりすることです。こうした場面ではAIだけでなく、人間同士のコミュニケーションや人間関係の構築が不可欠ですので、コミュニケーション能力がこれまで以上に重要になるでしょう。
定型的な業務については、SCPシステムや、そこに組み込まれたAIエージェントに任せることができます。人は「例外対応」など、より高度な判断が必要な業務に注力できるようになり、日常的な業務負荷は随分と圧縮されるはずです。
ザイオネックスが取り組む「Agentic Decision」とAIの成熟度モデル
最後に、弊社の取り組みについてお話しします。
弊社は、26年間にわたりSCM分野でコンサルティングおよびシステム開発・提供を行ってきました。
先週も韓国本社の開発部隊と議論してきたのですが、弊社では以前から「我々の考えるAIの姿」を構想し、プランニングしています。それが「Agentic Decision」という考え方に基づく、「AIの成熟度モデル」です。

弊社が考える「Agentic Decision AI」は、単なるSCPシステムにとどまらず、人間の意思決定を段階的に代行する知能へと進化していくと定義しています。
もちろん、一度に何もかもが自動化されるわけではありません。
レベル1の段階は「説明的知能」のフェーズです。これはChatGPTにプロンプトで問い合わせをするようなイメージで、主に「AIがなぜこのような計画を導き出したのか」を人間に対して説明してくれる機能です。
この段階において、AIは人間のアナリストに代わるような役割を果たしてくれますが、最終的な意思決定はあくまで人間が行う、という位置づけになります。
レベル2は、AIが「何をすればよいか」という「オペレーションの提案」をしてくれる段階です。SCM業務においては、費用、サービス、在庫間のトレードオフなどが発生しますが、AIはそうした要素を比較し、複数の代替案を提示してくれます。この段階でのAIの役割はあくまで「アドバイザ」であり、最終的な意思決定は依然として人間が行います。
レベル3になると、「条件付きで自律的に実行する」段階に入ります。この「条件付き」という点が非常に重要なのですが、あらかじめAIが自動実行してよい閾値を設定しておき、その範囲内の業務をAIが担当します。
つまり、定型的な業務はAIエージェントが人間に代わって実行してくれます。ただし、閾値を超えるような「例外対応」に関する意思決定の権限は、しっかりと人間が持つという形になります。
次に、Agentic AIの導入効果についてです。

先ほどの3段階のレベルそれぞれにおいて、「どのように業務が改善されるのか」を図に記述しておりますので、ご参考にしていただけたらと思います。
次に、導入のロードマップについてですが、「3段階」を実際に企業様で導入する場合、以下の図にお示しした時間軸で実行・実施できるのではないかと考えております。

フェーズ1は、データの信頼性向上や、計画・分析の「リードタイム短縮」などを目的として導入を始めます。
次にフェーズ2は、AIが最適なオペレーションの提案をしてくれるようになり、よりインテリジェントな運用が可能になります。
最後のフェーズ3は、業務の自動化がされます。ただし、前述の通りあくまで「条件付き」の自動化であり、AIが何もかも勝手に実行してしまうわけではありません。
弊社としては、いきなりすべてを自動化するのではなく、このような順番で段階的に導入していくことをお勧めしており、お客様から「AIを使ったSCM体制を構築したい」というご相談をいただいた際には、弊社としてはこの順番に沿って段階的にご提案していきたいと考えております。
最後に弊社が提供するSCMシステムにおけるAIの対応状況について、一例をご紹介します。
すでにエンタープライズ向けのSCMシステムである「T3SmartSCM」には、LLMが実装されています。以下の図はその機能の一部ですが、需要予測の結果について、特定の品目に絞ってAIが解説してくれる機能となっています。

画面右側にある「分析」ボタンを押すと、該当品目の属性や分析結果を、AIが「自然言語」で分かりやすく文章化して解説してくれます。この機能はすでに実際の製品に搭載されており、複数のお客様に導入・ご活用いただいております。
また、日本国内で特に中堅企業様向けに提供しているSaaS型のSCMシステム「PlanNEL」につきましても、そう遠くない将来に同様のAI機能が搭載される予定です。
具体的な計画につきましては、追って発表させていただきますが、PlanNELも今後どんどん高度化していきます。現在ご提供しているモジュールにとどまらず、機能をさらに拡大し、皆様にとってより使い勝手の良いシステムへと進化させていく計画です。
最後にまとめとなります。本日はAIを中心にお話しさせていただきました。

現在、世の中では「SCM」よりも「AI」について知っている人の方が、どんどん増えてきていると感じています。「AIの使い方は知っているけれど、SCMについてはよく分からない」という方もいらっしゃると思います。
しかしSCMの領域においては、AIの利用がどれほど進んだとしても、「中心は人間である」と考えています。
だからこそ、SCMにおける人材育成は欠かせません。「人間が考える」という仕事をなくしてはいけないのです。仮にAIが答えを出してくれたとしても、「なぜだろう?」と問いかけ、自ら考える姿勢を持つことが非常に重要です。
本日はコンセプトベースのお話となりましたが、私からのお話は以上です。今後、弊社のソリューションもどんどん拡張・進化してまいりますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
本日のセミナーは以上となりますが、もし追加でご質問やご興味がございましたら、いつでもお問い合わせください。
また、弊社では、SCMセミナーを月1回程度の頻度で開催しておりますので、ぜひまたご参加いただけたらと思います(セミナーの一覧はこちらから確認できます)。本日は誠にありがとうございました。