お客様事例 -プロジェクトベース-

川崎重工業 ~産業用ロボット~

概要

川崎重工業は日本で初めて国産の産業用ロボットを開発・製造し、以来様々な製造分野の自動化を支えるロボットのリーディングメーカーです。自動車ボディの溶接、食品の加工など、個別の製品や製造ラインの要求にマッチした質の高い自動化作業を川崎のロボットが実現しています。

ソリューション の導入背景及び目標

ロボットビジネスセンター内の各チームでは、一人のPMが常に複数の設計・開発プロジェクトを掛け持ちで担当しているため、プロジェクトの計画、要員リソースと外注のマネジメントに苦慮していました。管理工数削減と管理レベルの向上のためには、関係者が遅延なくプロジェクト情報を共有し、遠隔地からも進捗の管理を可能とすることが危急の課題となっていました。

導入アプローチ

川崎重工業内で標準のPLMとなったAras Innovatorをプラットフォームとし、ArasのPM機能を拡張したパッケージであるDTMを利用して構築することになりました。当初からチームの代表が評価に参加し、ユーザ代表のリードとロボットビジネスセンターのIT担当による支援のもと、機能を拡充させつつ自社に必要な要件を実現していきました。

構築の効果

PM及び開発リーダーが顧客からの引き合いを元に、プロジェクト情報とその計画をDTMに登録し、要員負荷を確認して主担当をアサイン、計画案を作成します。DTMから出力した計画案を客先と協議して確定すると、作業者には日次で割り当てられた作業の通知が行われ実績を登録することでPMは進捗をタイムリーに把握することができます。この仕組みにより、頻繁なメールのやり取りなしに進行中のプロジェクトの管理が円滑に行えるようになり、PMの管理工数削減、マイルストーン遵守率向上の効果が表れました。

LS産電

顧客のビジネス環境

LS産電は、韓国財閥系企業として国際的に有名なLGグループから分社化したLSグループ(LS電線、LSニッコー銅管など17社の企業グループ)に属し、産業用電力機器及び、自動化機器の分野を担う企業としては韓国No.1のシェアを持っています。遮断器や電磁接触器等の低圧機器、VCBや、モールドトランス等の高圧機器、スイッチギアやRMU、GISといった、特別高圧の電力システムまで手がけています。自動化機器においては、インバーター、PLC、HMIをはじめ、成長著しい産業である太陽光発電に進出し、EV、RFID等の分野にも、進出を遂げています。

導入の背景とアプローチ方法

プラント設備などの個別受注生産型事業においては、案件の引き合い見積もりから設計・生産・設置までがプロジェクト型業務として進められ、社内だけでなく社外のパートナー企業から設備やリソースを調達しながら、工程計画を周知徹底し、遅延なく進行することが必須となります。また、受注金額に対しての原価管理・黒字化は、いかなる場合においても死守すべきミッションとなります。
こうした厳しい条件の中、Dynamic Task Managerを利用し、受注契約単位で①日程・原価の統合管理②ERPシステムの連携によるプロジェクト原価管理③プロジェクト全体の進捗モニタリング機能を構築しました。


WBS(アクティビティの集約単位)の管理レベルを定義し、その4レベル目を“Work Package”と明確に位置付け、その単位で調達・製造・原価の管理を行い、「受注原価」「目標原価」「予定原価」を設定しERPで管理するTaskと連携させます。そのためERPではSPG(部門)別に入力された実績を集計し、目標原価と突き合わせて「予定原価」を修正することが可能です。

プロジェクトの計画から終了まで、プロジェクト全体の進捗状況をモニタリングするために、SPG(部門)別に各プロジェクトの受注プロセス/Gate・フェーズ情報を確認できるようにし、プロジェクトマネージャには、プロジェクト全体の日程計画の進捗状況とコストのリスクもモニタリングできる仕組みとしました。

適用効果

進行中の業務プロセスを共有・可視化し、共通のプラットホームを利用することで、個別に行っていた業務が一つのデータベース上でつながり、プロジェクトマネージャだけでなく技術者個人が、互いの仕事を確認しながら全体のマネジメントにまで気配りし、各人がマネジメント意識をもって取り組むことのできる、部署・部門の組織を横断したプロセスマネジメントを可能にしました。
またEVMチャートの提供により、原価超過のリスクを早期に認識し対応できるような意思決定支援を可能にし、プロジェクトの計画や進捗管理にとどまらず、予算・原価管理部門にまで拡張して利用できる仕組みを構築しました。このような本格的なシステム構築にも関わらず、システムの開始から約10ヶ月という期間で全体リリースを達成することに成功しました。

斗山(Doosan)重工業

顧客のビジネス環境

斗山(Doosan)重工業は、韓国の斗山企業グループに属する総合重工業企業で、発電設備、プラント設備、インフラ設備などの生産を手掛けており、サウジアラビア、インドなど海外で大型のプラントや発電所建設を担うグローバルEPC企業です。

導入の背景と目的

斗山重工業の発電所施設やタービン設計開発業務は個別受注設計でなされており、多種にわたるエンジニアリングデータの分散化、設計プロセスの属人化、設計の日程計画が見えないなど、事業拡大を妨げる問題を抱えていました。コスト競争力を維持するためにも業務の効率化と品質の担保が必須ですが、案件の拡大や厳しい法規制を遵守するためにプロセスは複雑化し、個人のスキルや工夫に頼らざるを得なくなっている状況下で、従来の部品組み立て方式をサポートするPLMシステムの適応は難しいものでした。そこで将来の変化を見越して、拡張性と柔軟性が保証されるArasのプラットフォームをベースに、SI開発方式でシステムを構築することにしました。

まず、設計手順を正確に遂行するための「設計プロセスの標準化」を目的とし、そのためにプロジェクトタイプに応じて標準のプロセスを定義し、これを標準ワークフローテンプレートとしてデータベースに管理するようにしました。ワークフローのタスクは、Aras InnovatorのアドオンであるDynamic Task Manager を利用してプロジェクトの日程計画へ連携して定義され、ガントチャートは日程計画の共有のために使われるようにします。
次に、機器や設備の仕様情報を体系的に管理するために、エンジニアリングデータベースを活用し、機器や設備の標準の分類を定義し(設備テンプレート)、それぞれにスペック情報とモデリングの情報が付与され、機器のライブラリとなり、この情報をインポートして3Dモデリングが作成されます。機器ごとに管理に必要な属性の値が付与され、リストや項目単位でアクセス権も設定されます。
対象となる事業が大きいため、約10か月間の一時開発の後パイロット案件に適用し、4か月後に施行を完了、本格稼働を開始しました。その後は既存システムとの連携を行いながら徐々に事業別に対象を広げて展開中です。

適用効果

ワークフローを定義し、業務プロセスを標準化したことで、統合設計環境の骨子が構築されました。ワークフローに沿った設計プロセスの実行を徹底するため、全てのユーザが抵抗なく利用できるように、操作性の良いワークフロー定義の描画機能・グラフィカルな管理画面でアクティビティと成果物を関連付けるEditorを開発し提供しました。それにより、業務の手順が可視化され、直感的に業務の状態と文書との関連性とを把握することができるようになりました。
機器ライブラリとエンジニアリングDBの活用により、仕様情報が体系的に管理できるため、3Dモデリングにより必要な資材や設備の数量が計算され、設備の調達や施工、生産の元データとなるほか、類似プロジェクトの見積もりに再利用することも可能でした。
エンジニアリングポータルにより、関係者がタイムリーに最新情報を共有することができ、設計の整合性を向上させることができるようになりました。全ての関係者はこのポータルページを介して、送達/依頼手続き・データ登録が可能で、自分に関連する情報が常にニューフィードとしてアップデートされ、プロジェクトのステータスもダッシュボードで確認ができます。
現在、広範囲なポートフォリオに対応するため、更にSCMとの連携も進めています。

ハンファテックウィン

顧客のビジネス環境

ハンファテックウィンは、1977年の航空機エンジンとカメラ事業を開始して以来、精密機械産業の発展に重要な役割を果たし、半導体製造装置の部品、ターボ圧縮機、自走砲などに事業領域を拡大しました。さらに、マルチメディア時代の最先端技術が必要な映像情報機器などのハイテク製品も生産しています。ハンファテックウィンは、精密機械分野最高の技術力をもとにSafety&Energy case04グローバルリーダーとして飛躍しようとしています。特に、パワーシステム事業部は、航空機エンジン、エンジン部品、エネルギー機器事業を担当しています。

導入の背景と目的

ザイオネックスの提供するSCMソリューションが導入されたハンファテックウィンのパワーシステム事業部は、ETO(Engineer To Order)生産方式に対応しています。 ETO方式-つまり “カスタム設計生産戦略”は、個々の顧客が注文をしながら要求した個別のデザインで生産する方法を意味します。 ETO戦略では、大規模なプロジェクト性の注文による生産の特徴を持っているので、”Project方式”とも呼ばれています。当時、ハンファテックウィンは、不必要なヤード待機時間発生により、顧客納期のリードタイム長期化が発生し、工場間の計画の同期が体系的になされていませんでした。また、注文と仕様の変更に応じた迅速な対応がされていないなどの問題も抱えていました。これらの問題を解決し、在庫削減・顧客納期遵守率を向上させるために、ハンファテックウィンはザイオネックスのSCMソリューションを選定、導入プロジェクトを開始しました。プロジェクトを通じて達成しようとしたのは、設備能力と資材の活用性を考慮した毎週、毎月の生産実行計画システムの確立でした。

適用効果

ハンファテックウィンはSCMソリューションの導入後、次の4つを実装することにしました。第一に生産計画と管理タスクの自動化。第二に月次および週単位で設備の負荷状態と在庫レベルを予測することにより、先行管理体制を確立すること。第三に、計画の変動に沿って一時間以内に計画の再策定ができる体制を確立し、納期/生産計画/資材所要日程の間で情報を同期することにより、変動に即時に対応可能なシステムを備えました。第四に、継続的な計画実績対比をモニタリングするためのツールを運用しました。このSCMソリューションの導入プロジェクトを通じて、ハンファテックウィンは部品の在庫日数を短縮し、生産計画遵守率を向上させることができました。また日次作業計画の実施率を90%以上向上させ、プロセスの待ち時間を短縮しリードタイムを減らすことに成功しました。

韓国KOSO

顧客のビジネス環境

1979年に設立された韓国KOSO(株)は、日本工装株式会社の100%出資会社です。日本工装株式会社は1965年に設立され、産業用自動コントロールバルブ分野の世界的リーダー企業です。韓国KOSOは高度な技術を必要とする特殊バルブと各種部品を組み立てて、造船業やプラント業界の国内グローバル企業に提供しています。

導入の背景と目的

韓国KOSOが当時直面していた主なビジネス課題は大きく3つあり、第一に、EPC(Engineering、Procurement&Construction)顧客との大規模な契約管理を体系化する必要がありました。第二に、顧客の新規設計とこれに対する製造要件を合理的に管理する必要があり、最終的に世界中の顧客やサプライヤーとのコラボレーションを行うことができるシステムの実装が必要でした。また、韓国KOSOで生産するバルブは、DTO(Design To Order)またはETO(Engineer To Order)の生産形態ですが、この場合製品の開発や購買、生産を含むプロセス間の有機的な連携とデータ統合が競争力に重要な要素となります。このような状況の解決策として、韓国KOSOはPLM(Product Lifecycle Management)ソリューションのAras Innovatorに基づいて、PLMとSCMの統合と連携したプロセスの革新を推進し、PLSCMシステムを構築しました。

適用効果

PLM領域では、製品情報管理システムを確立しバリューチェーンベースのプロジェクト管理プロセスをPLSCMシステムに組み入れました。またQCD(品質、コスト、納期)の能力を強化し、全社基準情報(BOM; Bill of Material)を管理できるようになりました。また韓国KOSOはサプライチェーンの可視性を確保するため、迅速な意思決定プロセスをとともに納期遵守と在庫削減を目指すサプライチェーン革新を推進しました。その結果、外注サプライチェーン企業とのコラボレーション基盤を強化。最終的にPLSCMシステムを介して、受注 – 開発 – 調達 – 生産に至るまで、企業内のプロセスおよびバリューチェーンを総合的に改善することができました。販売管理機能では、顧客情報管理機能、見積書の管理と利益率の自動計算機能、仕様書(specification)管理機能、設計、生産の進捗度の確認機能などが実装されました。 エンジニアリング管理機能には、技術仕様書(technical specification)管理機能、部品、およびBOM管理機能、およびCAD Integration機能などが実装されました。生産管理領域では、バルブ別の設計進捗度管理機能、バルブ固有の操作(Operation)の管理と作業進捗度の管理機能などが実装されており、購入および品質領域では、部門別の操作(Operation)の管理および操作の進捗度管理、品質部門成績書管理などが実現されました。